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<眠れぬ夜のために➀>



ー文字を消すー


22歳の時にオーストラリアにある演劇の国立大学に夏の短期留学をするために、はじめて海外に行きました。生まれてはじめての外国ですからとても新鮮な毎日で、朝から夕方まで大学の授業に出て、夜は他のスタジオのダンスのレッスンに参加したり、土日はカンガルーを見るツアーに参加したりと、楽しい1ヶ月を過ごしました。


今でも外国に行くは楽しみですが、はじめてだからこそ気がついた事がありました。


「文字が目に飛び込んでこない」


英語だから意味がわからないんです。当たり前です。そんな当たり前の発見にとても心が軽くなりました。


「私は文字に疲れていたんだ」


日本の街を歩けば沢山の文字を目にします。文字に自分が思う以上に頭と心を働かせていた事に気が付きます。


意識して見る文字ではなくて、無意識に見えている、看板の文字とか、住所などの文字を目に入れては知らず知らずにのうちに疲れいたんだ。


私の仕事は台本を「読む」「覚える」「想像する」「発語する」などが日常ですからなおさら敏感なのかもしれませんが「文字から離れる時間」が必要なのかもしれないと、その時からだんだん文字を消す事をはじめました。  


でも、本を読まないとか、ネットを見ないとか、SNSをやらないとかではありません。それは自分で意識的に見過ぎたことをコントロールできますよね。


家の中にある文字です。ちり紙の箱とか、本の背表紙、ペットボトルや調味料の文字。


街の文字を消す事は出来ないけれど、自分の家の中の文字を隠す事は出来ます。無意識に入って来る文字を出来るだけ目に入らないようにすると、それだけで少し心が静かになるようです。


なんだか落ち着かないんだよなと思ったら

出来るだけ無意識の文字から離れる。全てとは言わずともお部屋の中の文字を消してみると、何故か部屋が片付いてみえたりします。そんな自分の居場所を作ってみると静かな時間を過ごせるようです。


とっても些細なことですけどね。


良い眠りへ。


一歩一歩。

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