地上38階から東京を眺めていた。
目に映るどの建造物も、どの光も、
人間が作り出したものだと思うと、
先人たちの偉大さと、
過去の果てしなさに気が遠くなる。
「暑気払いに行くよ」と誘っていただいて、
身の丈に合わないお店で美味しい料理をご馳走になった。
すごいだの、うまいだの、
心の向くままに感想を述べていたら、
「本日、大事な記念日を過ごされている方もいらっしゃいますので」と、しっかり怒られた。
文字通り、地に足のつかない状態で、浮かれてしまった。お恥ずかしい。
周りを見ると、特別な日を過ごす人たちがグラスを交わしている。
地上から、耳がキーンとなる高速エレベーターでこの非日常の空間にやってきたのだ。
なぜ人はこんなに高い建物を建てるのか疑問だった。
もしかしたら、日常から離れるためかもしれないと悟った夜だった。
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